精神保健福祉法改正では保護者制度が廃止されようとしている.その背景には高齢化する疾病構成と家族構成の変化がある.新たな医療保護入院制度は,なおも家族の同意要件を残し,政府の地域精神医療と強制医療への責任を放棄している.多数の社会的長期入院者を退院させるのではなくその収容サービスを切り下げた資源の一部で作られる地域サービスは,結局収用サービスの付属物以上にはなりえない.長期的には,障害者権利条約を考慮に入れて,強制医療と自由の制限のための精神科に特殊でない医療全体での法制を検討すべきである.
保護者制度廃止後の非自発的入院制度の展望
公立豊岡病院
精神神経学雑誌
116:
309-315, 2014
<索引用語:医療保護入院, 保護者制度, 精神保健福祉法, 地域サービス, 障害者権利条約>