Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第4号

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特集 精神保健福祉法の今後を展望する―保護者制度の廃止を見すえて―
新たな医療保護入院制度における権利擁護と早期退院
大塚 淳子
社団法人日本精神保健福祉士協会
精神神経学雑誌 116: 302-308, 2014

 平成25年6月13日,第183回(常会)国会で精神保健福祉法の一部改正が成立した.長年,精神障害者の家族に矛盾した役割を課していた保護者制度が廃止された.しかし家族等のいずれかの者の同意を入院要件とし,さまざまな課題や懸念を残す内容となった.非自発的入院が必要となる者の多くは地域生活の維持が困難な状況に陥っているといえる.医療保護入院のみが解決の選択肢なのか,入院時には診察とあわせ地域支援体制等の確認作業が必要だが,なお,医療保護入院を選択せざるを得ない場合は,入院時から早期退院と地域生活維持のための支援体制の構築に向けた治療や取り組みが求められる.入院時から適宜,多職種チームや地域支援関係者と連携を図っている医療機関では,明らかに早期退院に結びついている.法改正により全国的に同様な結果につながるような実行性と運用が望まれる.医療機関マンパワーの増強とチーム医療の文化の醸成,住まいや福祉資源,家族への支援など各種の地域保健福祉体制整備の推進も不可欠である.

索引用語:早期退院支援, チーム医療の文化醸成, 地域保健医療福祉体制構築, 自治体間格差解消>
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