新しい非自発的入院制度について,厚生労働省の「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」が,平成24年6月28日に発表した「入院制度に関する議論の整理」と,今回の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という)の改正法とを比較し,入院患者の権利擁護の視点で新しい非自発的入院制度を考察した.非自発的入院における患者の権利擁護のための実体的要件と手続的要件を考察し,精神保健福祉法の改正を評価した.その結果,改正法は,患者の権利擁護のための実体的要件及び手続的要件を満たしていないことが明らかになった.改正法は,3年後の見直しを規定している.改正法の運用に注視するとともに,精神医療審査会の機能強化や代弁者(アドボケーター)の導入等について見直しに向けた取組が必要である.
新しい非自発的入院制度における入院患者の権利擁護
岡山パブリック法律事務所
精神神経学雑誌
116:
298-301, 2014
<索引用語:権利擁護, 非自発的入院, 保護者, 代弁者, 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律>