Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第3号

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特集 東日本大震災からの復興に向けて―災害精神医学・医療の課題と展望―
震災後の自殺対策とゲートキーパーの養成について
大塚 耕太郎1)2), 酒井 明夫2), 中村 光1), 赤平 美津子1)
1)岩手医科大学医学部災害・地域精神医学講座
2)岩手医科大学医学部神経精神科学講座
精神神経学雑誌 116: 196-202, 2014

 被災地におけるメンタルヘルス対策として,メンタルヘルス不調者への個別介入だけでなく,被災地住民のメンタルヘルス・リテラシーの向上,住民の相互交流の再構築,生活支援との連携,従事者へのメンタルヘルス対策など包括的な対策が求められる.中長期的視点では,自殺対策が重要な課題である.岩手県の被災地においても包括的な自殺対策が推進されている.自殺対策においては地域の人材を育成していく人づくりの視点が最重要課題である.地域支援をひろげていくためには,地域の医療従事者,相談窓口担当者,メンタルヘルス関連の従事者などに対して,被災者の支援法を教育していくことが求められる.自殺対策と災害支援はそれぞれに困難を抱えた人を支援するというアプローチであり,方法論,システム,人材養成などで共役性がある.メンタルヘルス・ファーストエイドはこころの健康の不調を来した場合の非専門家の早期対応の方法としてオーストラリアで開発されたプログラムである.筆者の研究班も作成に加わったメンタルヘルス・ファーストエイドをもとにした内閣府のゲートキーパー養成プログラムは,ゲートキーパーに求められる知識やスキルを習得できる.2012年には同プログラムに被災地対応編も加え,避難所や仮設住宅での相談対応における危機対応法について習得できるような内容を開発した.また,このゲートキーパー養成研修プログラムをもとにした内閣府主催のファシリテーター養成研修会が平成2011年より開催されている.本プログラムはテキストも内閣府HPよりダウンロードが可能となっており,被災者のケアに携わる従事者の教育として活用が期待される.

索引用語:災害医学, 災害精神医学, 自殺対策, ゲートキーパー>
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