Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第2号

※会員以外の方で全文の閲覧をご希望される場合は、「電子書籍」にてご購入いただけます。
特集 向精神薬の適正使用と副作用モニタリング
臨床場面で新規抗うつ薬の適正使用の条件を考える
仙波 純一
さいたま市立病院精神科
精神神経学雑誌 116: 138-143, 2014

 SSRIやSNRIなどの新規抗うつ薬は,発売後急速にその処方数を増加させている.しかしその一方で,抗うつ薬使用中の自殺関連行動や不安や衝動性の亢進などが,社会的にも問題となっており,医師には抗うつ薬の適正な使用が求められている.適正使用のためには,薬の使い方だけに注意を払うのではなく,患者への適切な情報提示と説明も必要である.抗うつ薬の使用以前に,うつ病の治療ガイドライン,薬物相互作用,副作用などへの知識が求められる.実際に抗うつ薬を使用するときには,薬物療法への過大な期待を避け,軽症例には非薬物療法を選択することも考慮する.抗うつ薬の適正な使用を行う上では,多剤併用を避けてシンプルな処方とし,投与初期には副作用,とくに不安や焦燥の悪化に留意し,効果判定には4~6週待つことが原則である.効果が乏しいときに,初めて抗うつ薬の変更や併用,増強療法などを考慮する.うつ病の薬物療法では,患者の訴えを常に尊重しながらも,医師としての知識や情報を適切に提示し,治療を進めていく必要がある.

索引用語:抗うつ薬, 適正使用, 治療ガイドライン>
Advertisement

ページの先頭へ

Copyright © The Japanese Society of Psychiatry and Neurology