Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第11号

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総説
多言語使用と児童精神医学的鑑別診断―言語障害,特異的学習障害,選択性緘黙を中心に―
田宮 聡
発達医療センター花北診療所児童精神科
精神神経学雑誌 116: 907-920, 2014
受理日:2014年6月2日

 海外からの移民,帰国子女など多言語に暴露されて生活する人たちの存在にもかかわらず,多言語使用と精神医学的な問題に関する文献は日本では少ない.本稿では,児童精神医学的診断と多言語使用との問題を,特に,言語障害,特異的学習障害,選択性緘黙を取り上げて論考した.言語障害に関しては,評価において,プロフィール効果やコード・スイッチングといった,バイリンガル特有の言語行動に関する理解が不可欠である.また,最近のバイリンガル研究において,バイリンガルにみられる言語障害は,モノリンガルにみられるそれと比較して,重症度の差はないことが明らかになっている.特異的学習障害の評価に際しては,第2言語の習得度,転移,文化的背景などを考慮に入れる必要がある.継起バイリンガルの発達プロセスでみられる沈黙期は,選択性緘黙との鑑別を要する.最後に,多言語使用者の言語評価におけるいくつかの注意点を指摘した.

索引用語:言語障害, 特異的学習障害, 選択性緘黙, 多言語使用, バイリンガル>
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