Advertisement第121回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第127巻第1号

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症例報告
脳動脈瘤コイル塞栓術後に修正型電気けいれん療法を実施した緊張病性昏迷の1例
真殿 花梨1), 間宮 由真1), 中川 雄太1), 佐竹 祐人1), 畑 真弘1), 髙橋 隼1), 吉山 顕次1), 村上 皓紀2), 西田 武生2), 貴島 晴彦2), 池田 学1)
1)大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室
2)大阪大学大学院医学系研究科脳神経外科学
精神神経学雑誌 127: 10-16, 2025
https://doi.org/10.57369/pnj.25-003
受付日:2024年5月23日
受理日:2024年9月4日

 脳動脈瘤を合併する症例は修正型電気けいれん療法(m-ECT)の相対禁忌とされているが,そのような場合の実施方法については十分に確立されていない.今回,われわれは未破裂脳動脈瘤合併の緊張病性昏迷に対して,脳動脈瘤コイル塞栓術を先行して行い,m-ECTを安全に施行できた1例を経験したため報告する.症例は70歳代男性.双極性障害の診断で当院に通院していたが,入院1ヵ月前から緊張病性昏迷を生じ,増悪したため当院に入院した.入院時からロラゼパムを開始し,6 mg/日まで増量したが改善せず,m-ECTが必要と考えられた.実施前の頭部MRAで径約8 mmの脳動脈瘤を認めたため,脳神経外科と協議のうえ,入院2ヵ月目に脳動脈瘤コイル塞栓術を行った.そして,脳神経外科・麻酔科とも協議したうえでm-ECTを実施したところ,特別な有害事象を生じることなく症状の改善を得ることができた.脳動脈瘤を合併する症例に対してm-ECTを施行する場合には脳動脈瘤の治療を先行して行うことも選択肢であり,リスク評価や脳動脈瘤の治療適応,周術期管理について積極的に脳神経外科・麻酔科と検討することが必要である.

索引用語:緊張病性昏迷, 修正型電気けいれん療法, 脳動脈瘤, コイル塞栓術>
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