Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第124巻第4号

※会員以外の方で全文の閲覧をご希望される場合は、「電子書籍」にてご購入いただけます。
症例報告
継続・維持電気けいれん療法を終結した2例の臨床経過の検討
笹林 大樹1)2), 古市 厚志1)2), 樋口 悠子1)2), 高橋 努1)2), 鈴木 道雄1)2)
1)富山大学学術研究部医学系神経精神医学講座
2)富山大学アイドリング脳科学研究センター
精神神経学雑誌 124: 225-232, 2022
受理日:2021年12月21日

 継続・維持電気けいれん療法(ECT)は薬物治療抵抗性の精神疾患における再燃・再発予防を目的とした維持療法の1つで,治療的有用性を示した報告は増えつつある.しかし,その施行間隔や継続期間の明確な基準は存在せず,有害事象に関するエビデンスも十分ではない.また継続・維持ECT終結後の臨床的・機能的転帰に関する報告は少ない.われわれは,継続・維持ECTの終結とその後の臨床経過を観察できた2症例を経験したので報告する.2症例とも明らかな有害事象なく継続・維持ECTを終結できたが,その後1症例で再燃・再発を認め,継続・維持ECTの再導入が必要となった.しかし,いずれの症例においても,長期的な認知機能低下などの有害事象なく臨床および機能指標の改善が得られた.継続・維持ECTは終結後の再燃・再発リスクはあるものの,継続・維持ECTの再導入も含めた維持療法を適切に行うことで長期的な臨床的・機能的転帰の改善に有用と考えられた.今後は継続・維持ECTの施行計画,出口戦略,およびその後の維持療法についてさらなる知見の集積が必要と考えられた.

索引用語:継続・維持電気けいれん療法, 臨床的・機能的転帰, 薬物治療抵抗性, 再燃・再発, 維持療法>
Advertisement

ページの先頭へ

Copyright © The Japanese Society of Psychiatry and Neurology