Advertisement第119回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第124巻第12号

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特集 摂食障害の連携指針と簡易治療プログラムの研究開発
『精神科領域における摂食障害の連携指針』の作成
山内 常生, 原田 朋子, 宮本 沙緒里, 井上 幸紀
大阪公立大学大学院医学研究科神経精神医学
精神神経学雑誌 124: 855-862, 2022

 摂食障害診療において,精神科医療機関は施設数も多く中心的役割を担うことが多い.しかし,現状は摂食障害患者が一部の摂食障害の専門的医療機関に過度に集中するといった問題が挙げられている.患者の病状にあわせた治療を提供するうえで,精神科医療機関同士が適切に連携することが重要であるが,多くの医療圏で摂食障害の診療連携の整備は進んでいない.そこで,われわれは2017年度からの日本医療研究開発機構(AMED)の分担研究として『精神科領域における摂食障害の連携指針』を作成した.本指針の作成にあたり,はじめに精神科診療機関の摂食障害診療連携の現状と問題点を明らかにするために総合病院精神科,精神科単科病院,精神科クリニックを対象とした一次調査を行った.この調査から,診療連携の基本的な考え方や医療機関を振り分ける基準,診療連携を円滑にする情報共有のためのツールの作成などが重要臨床課題として抽出された.そして,これらの課題に対する専門的治療を行う精神科医からの意見を集約することで本指針を完成させた.本指針では,低体重の程度で対応すべき医療機関の基準を提示しているほか,入院治療による体重増加に応じて転入院を検討すべきことなどを提案している.また,連携基準をまとめたフローチャートや,患者紹介に用いる連絡票,医療機関リストの雛形も付録している.ただし,本指針は医療圏ごとの地域性や医療体制を考慮して調整されることを想定している.これを土台として自治体などが中心となりその地域の摂食障害診療の実態に沿った診療連携の体制を構築することが期待される.

索引用語:摂食障害, ガイドライン, 診療連携, 精神科, 治療>
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