本稿では,統合失調症に対するリハビリテーションや作業療法についてのいくつかのエビデンスを概説して,近年注目されている統合失調症患者の「結論への飛躍」に関する著者らの研究を紹介する.統合失調症に対するリハビリテーションでは,ガイドラインにより,家族介入,認知行動療法,包括型地域生活支援,援助付き雇用などが推奨されている.また,統合失調症に対する作業療法は,精神症状や認知機能,服薬アドヒアランスの改善への効果が報告されており,再入院率や医療コストの低下への影響も示唆されている.そして,統合失調症患者の「結論への飛躍」は,社会的転帰や精神症状と関連すると報告されるものの,検討は不十分である.本研究では,「結論への飛躍」と前頭葉機能,陰性症状,全般的機能との間に関連を認めたことを報告した.今後,「結論への飛躍」と社会的行動や社会機能との関連性のさらなる検討や介入研究が必要である.
統合失調症のリハビリテーション・作業療法―「結論への飛躍」に注目して―
1)関西医科大学リハビリテーション学部
2)医療法人杏和会阪南病院
3)大阪公立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
4)京都大学大学院医学研究科
5)大阪大学大学院医学系研究科
2)医療法人杏和会阪南病院
3)大阪公立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
4)京都大学大学院医学研究科
5)大阪大学大学院医学系研究科
精神神経学雑誌
124:
710-716, 2022
<索引用語:統合失調症, リハビリテーション, 作業療法, 「結論への飛躍」>