Advertisement第118回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第124巻第1号

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精神医学奨励賞受賞講演
第116回日本精神神経学会学術総会
てんかんにおける脳画像年齢測定と画像バイオマーカー探索
曾根 大地
University College London Institute of Neurology
東京慈恵会医科大学精神医学講座
精神神経学雑誌 124: 55-61, 2022

 てんかんは比較的有病率の高い神経疾患であるが,その多様な形態と併存症状の病態生理は知られていない部分も多い.近年の機械学習の進歩により,MRIなどから個人の「脳年齢」を推定することが可能になり,この脳年齢の測定は,個人レベルで応用可能な精神神経疾患の新しいバイオマーカーとして期待されている.著者らは,さまざまな類型のてんかん患者の脳年齢を推定し,①側頭葉てんかんに対する精神病症状の影響,②心因性非てんかん発作の脳年齢による臨床的識別,③若年ミオクロニーてんかんと進行性ミオクローヌスてんかんの識別を検証した.まず,1,196名の健常対照群の構造MRIスキャンを解析し,得られた脳の各部位の灰白質および白質の容積の数値から,各個人の実年齢に適合するような年齢予測計算モデルを機械学習によって構築した.この年齢予測モデルを318名のてんかん患者(または心因性発作)の脳画像データに適用し,各個人の脳画像から予測される年齢と実際の年齢の差(brain-PAD:予測年齢-実年齢)を算出した.結果,ほぼすべてのてんかん類型で脳年齢が平均で4年以上高く,海馬硬化を伴う側頭葉てんかんではそれ以上であった.また,発作間欠期精神病を伴う場合は,伴わない場合に比べてさらに5年程度の脳年齢上昇が認められた.心因性非てんかん性発作群はてんかん群と同程度の脳年齢上昇を呈し,進行性ミオクローヌスてんかんは若年ミオクロニーてんかんに比べ脳年齢が高かった.このような知見は,てんかんにおいて,健常群にみられる脳の加齢と異なった加齢プロセスが存在することを示唆し,海馬硬化や精神病症状との関連も推測された.脳MRIに基づく年齢予測システムは,通常診療で応用可能な個人レベルの画像バイオマーカーとして確立される可能性がある.さらに本稿では,てんかんにおけるその他の画像バイオマーカーの探索などについても議論する.

索引用語:てんかん, 脳画像, MRI, 精神病, 機械学習>
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