Advertisement第117回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第123巻第3号

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資料
若年者に向けたワンストップ相談センターSODAの試み―これまでの精神科早期介入から地域における早期相談・支援へ―
内野 敬1)2)3), 小辻 有美2), 飯田 さとみ2)3), 青木 瑛子2), 塩澤 拓亮2)4), 白幡 真教3), 関 晶比古3), 水野 雅文1), 田中 邦明1)2)3), 根本 隆洋1)
1)東邦大学医学部精神神経医学講座
2)ワンストップ相談センターSODA
3)医療法人財団厚生協会東京足立病院
4)国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域・司法精神医療研究部
精神神経学雑誌 123: 126-137, 2021
受理日:2020年11月15日

 精神疾患に伴う社会的損失は世界的に強調されており,その予防や回復に向けた方略の実装は社会全体の急務である.当初,早期介入の試みは統合失調症を中心とした精神病性障害に対して研究・実践されてきたが,近年では広く精神疾患全体およびメンタルヘルスの不調へと裾野を広げている.困難を抱えて援助希求に至った精神疾患の好発年齢である若年者に対して,メンタルヘルスの不調から精神疾患に至るまでのclinical stagingの考えに基づく縦断的なアセスメントが求められるが,本邦においてそれは主に医療機関内のみにて実施されてきた.若年者が医療機関へ援助希求に至るには極めて高いハードルがあり,適切なアセスメントに基づく時宜に適った支援を受けられているとは言い難い現状がある.この解決策として,世界保健機関や諸外国では「ワンストップ・ケア」の有用性が提唱されている.これに基づく本邦の新たな試みとして,昨今若年層の集中が著しい東京都足立区北千住に,ワンストップ相談センターSODA(Support with One-stop care on Demand for Adolescents and young adults in Adachi)を開設した.若年者の援助希求に応じて,多職種チームによる早期相談・支援アセスメントを,医療機関内ではなく地域の独立した窓口で実施している.そのうえで臨床型ケースマネジメントにより,地域における包括的支援体制を構築し,ワンストップ・ケアの達成を目標としている.本稿では,これまでSODAに寄せられた相談および支援介入に関する情報を検討し,その特徴を考察した.相談対象者の特徴として,メンタルヘルスの不調と同時に社会的孤立や就労問題など複数の心理社会的困難を抱えていた.精神科に定期通院中の者は約35%であった.初回相談後,約70%がSODA内での心理社会的支援セッションの実施につながり,そのうえで医療機関や各種関係機関と直接的に連携をとり,支援体制の構築に向けて継続的介入を実施した.地域における早期相談・支援の社会実装は世界的潮流であり,精神疾患の予防や予後の改善が期待されている.今後本邦において構築されていく「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」においては,早期相談窓口の設置がシステム全体の持続性や社会的損失の軽減につながると考えられる.

索引用語:若年者, 早期介入, ワンストップ・ケア, ケースマネジメント, 臨床病期>
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