Advertisement第117回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第123巻第10号

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特集 児童虐待を予防する―産婦人科医,小児科医,精神科医のコラボレーション―
虐待予防のために精神科医ができること―周産期メンタルケア外来の実践から―
菊地 紗耶1), 小林 奈津子1)2), 本多 奈美3), 富田 博秋3)
1)東北大学病院精神科
2)東北大学大学院医学系研究科精神看護学分野
3)東北大学大学院医学系研究科精神神経学分野
精神神経学雑誌 123: 640-646, 2021

 周産期は女性にとって心身および社会的な変化の著しい時期であり,抑うつや不安などのメンタルヘルスの問題を生じやすく,それが児の養育に影響を与えることが少なくない.特に,予期せぬ妊娠,若年,未婚,経済的問題,精神疾患などの心理社会的リスク因子をもつ妊産婦に対しては妊娠期からの継続的な支援が必須である.東北大学病院精神科では2008年より周産期メンタルケア外来を開設し,精神疾患を有する妊産婦の治療や院内外との多職種連携に取り組んできた.そのなかで,特に妊娠中より養育の問題が懸念されるケースとしては,重症の精神疾患や知的な問題のために育児スキルが不十分と考えられる場合,育児スキル自体には問題がないものの精神症状の動揺性や強い衝動性を有している場合,育児支援者が不在または育児支援者との関係性が不良で結果的に母親の孤立が懸念される場合などが挙げられる.周産期を通して精神疾患の安定だけでなく,対児感情やボンディング,育児機能の評価,育児支援者の有無および関係性の評価を行い,市町村の保健師や必要に応じ児童相談所などと情報共有することが重要である.情報共有の際,本人の同意のうえ行うことが望ましいが,出産後の養育について出産前から支援を行うことが特に必要と認められる「特定妊婦」の場合,要保護児童対策地域協議会を介する医療者から行政機関への情報提供は,児童福祉法第25条の2第2項を根拠とする法律に基づく正当な行為であり,本人の同意がなくても守秘義務違反とはならないとされている.多職種の役割と機能を十分理解しながら,他機関と積極的に連携し,妊産婦の精神医学的評価や診たての共有,今後のかかわりの助言を行うことが精神科医に求められる役割と考えられる.

索引用語:虐待予防, 周産期メンタルヘルス, 多職種連携>
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