Advertisement第115回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第121巻第5号

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特集 反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法の適正使用指針について
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法の適正使用指針―背景にある考え方―
中村 元昭1)2)
1)昭和大学発達障害医療研究所
2)神奈川県立精神医療センター
精神神経学雑誌 121: 395-404, 2019

 2017年9月,反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法の装置が皆保険制度のわが国で承認され,保険収載の方向で検討が進められている.本学会が厚生労働省からの委託を受けて,rTMS適正使用指針を策定した.本章では,適正使用指針の内容について,ワーキンググループでの議論を紹介しながら解説した.医療行為の基本的倫理原則として,善行(beneficence),無害性(non-maleficence),自律性(autonomy)および正義(justice)の4原則が知られており,rTMS療法における医療倫理の要点を整理した.rTMS療法の対象疾患(集団)は「既存の抗うつ薬による十分な薬物療法によっても,期待される治療効果が認められない中等症以上の成人(18歳以上)のうつ病」と定義される.治療法としてはセカンドライン以降の位置づけであり,抗うつ薬に比べると適用範囲が限定されている.有効性に関しては,効果量が中等度で,治療反応率は3~4割で,寛解率が2~3割と報告されている.頻度が高い副作用としては,刺激中の頭皮痛が3割程度認められ,特に運動閾値の高い症例では対策が必要となる.重篤な副作用としては,けいれん発作が挙げられ,危険率は0.1%未満であるが,リスク最小化のための事前の対策が必要となる.絶対禁忌は刺激部位に近接する金属や埋設型医療機器と,心臓ペースメーカーであり,rTMS療法を実施することはできない.相対禁忌事項に該当する症例に対するrTMS療法は,ベネフィットがリスクを上回り,患者本人の同意が得られれば,総合病院において実施可能である.適応外使用の常態化を抑止するために,指針のなかで適応外の具体例を提示している.rTMS療法の臨床導入がわが国のうつ病医療をどのように変えるのか,適正使用指針が適正使用を促進するのか,注視していく必要がある.

索引用語:反復経頭蓋磁気刺激, うつ病, 適正使用指針, 医療倫理>
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