Advertisement第115回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第121巻第4号

※会員以外の方で全文の閲覧をご希望される場合は、「電子書籍」にてご購入いただけます。
特集 認知症医療に求められる倫理
認知症が進んだ段階の治療法の選択
田口 真源
医療法人静風会大垣病院
精神神経学雑誌 121: 298-305, 2019

 「人生の最終段階」という言葉で認知症が進んだ段階を表現することが多くなった.この段階における認知症の治療をどのように行えばよいかは臨床場面で悩ましい問題であるが,このことを考えるとき,問題を整理する必要があろう.まず,著者は認知症における「中核症状」「周辺症状」という捉え方や精神症状と行動障害を行動・心理障害(BPSD)として一括して扱うことの乱暴さを常々批判してきた.それは認知症における精神科医療の誤解だけでなく治療法の選択においてのミスマッチを引き起こしていると考えるからである.あくまで私案であるが,症候学や治療とのマッチングを考えると,認知機能障害を中心とした高次脳機能障害群と精神症状群(精神機能障害群+生理機能障害群),行動障害群に分けることができ,認知症の治療とはそれに身体合併症を加えたものであると考えている.一方,疾病修飾薬がない現段階ではすべての抗認知症治療は対症療法である.認知症は経過のなかで症状は変化するので,必要性が低くなった対症療法は中止や変更していくべきであろう.こういった状況に対応した柔軟な「治療の出口戦略」も必要と考えるが,認知症が進んだ段階において一律に抗認知症薬を中止するというのも乱暴ではないかと考える.リスクとベネフィットを考え,認知症が進んだ段階でどのような場合に抗認知症薬のリスクが大きいと判断し減薬,中止するか.また,どのような場合にまだベネフィットが優勢であると判断し継続を選択するかを考える必要がある.こういった視点に基づいて治療の出口戦略を考察した.

索引用語:認知症が進んだ段階, 認知症の症候, 治療の選択, 治療の出口戦略>
Advertisement

ページの先頭へ

Copyright © The Japanese Society of Psychiatry and Neurology