Advertisement第116回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第121巻第3号

※会員以外の方で全文の閲覧をご希望される場合は、「電子書籍」にてご購入いただけます。
特集 精神病/統合失調症への早期介入―現在の到達点と臨床ガイダンス―
初回エピソード精神病と精神病発症危険状態の薬物療法
盛本 翼, 岡﨑 康輔, 岸本 年史
奈良県立医科大学精神医学講座
精神神経学雑誌 121: 193-200, 2019

 初回エピソード精神病(FEP)の薬物療法は,第二世代抗精神病薬(SGAs)が第一選択である.FEP患者は,治療反応性が良好な一方で,副作用への感受性も高いとされるため,低用量のSGAsで開始し,効果判定を行うべきである.陽性症状が寛解したFEP患者に対する抗精神病薬の継続期間に関して,最近では長期的な試験も報告されているが,その判断には本人や家族との十分な話し合いや,慎重な経過観察が必要である.SGAsによる精神病発症危険状態(ARMS)の症状緩和や精神病発症遅延効果については,決定的な結論は得られていない.一方で,ARMSの精神病への移行率は3分の1程度と報告されているため,SGAsを投与した場合,少なくはない偽陽性例が副作用を被ることになる.海外のガイドラインでは,発症予防を目的とした抗精神病薬の投与は控えるべきであり,併存疾患の治療を積極的に行うのが望ましいとされている.一方で,心理的介入を行うための症状軽減を目的とする場合は,少量のSGAsが考慮される.ARMSに対する抗うつ薬の効果を検討したランダム化比較試験は存在しない.ω-3不飽和脂肪酸の効果については,投与によって有意に精神病移行率が低下したという報告と,質の高い心理社会的介入を併用した場合はプラセボと比較して移行率に差がないという報告が存在するため,今後のさらなる効果検討が必要と考えられる.

索引用語:統合失調症, 初回エピソード精神病, 精神病発症危険状態, 薬物療法, 第二世代抗精神病薬>
Advertisement

ページの先頭へ

Copyright © The Japanese Society of Psychiatry and Neurology