Advertisement第116回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第121巻第10号

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症例報告
長期にわたり気分の変動と摂食障害の症状が連動した双極性障害の1例―鑑別診断と病因の相互作用に関する考察―
住谷 さつき
徳島大学キャンパスライフ健康支援センター
精神神経学雑誌 121: 790-798, 2019
受理日:2019年6月21日

 過食と自己誘発嘔吐を繰り返す摂食障害の症状が躁状態出現とともに消失し,抑うつ気分から正常気分に移行すると再燃することを繰り返す双極性障害患者の長期にわたる臨床経過を報告する.症例は10歳代後半から過食と自己誘発嘔吐が始まり30歳代はじめに当科を初診した女性.やせ願望,ボディイメージのゆがみ,肥満恐怖が存在し摂食障害と診断された.初診から2年後,突然気分が高揚し幻覚妄想を伴う激しい躁状態となり,それと同時に長期にわたっていた食行動異常が消失した.しかし気分が正常気分から抑うつ気分に移行するに伴い過食嘔吐が再燃.その後も躁状態・軽躁状態では食行動が正常化,抑うつ気分・正常気分では摂食障害の病像を呈することを繰り返した.40歳代前半になって軽躁状態となり過食嘔吐が消失.その後は気分の変動がまったくみられなくなり摂食障害に特有の認知特性も消失した状態が維持できている.本症例の食行動異常は双極性障害の気分変化と連動しており,双極性障害の治療とその安定化が摂食障害の寛解につながったと考えられた.

索引用語:双極性障害, 摂食障害, 神経性無食欲症, 躁状態, 気分安定薬>
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