Advertisement第116回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第121巻第1号

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特集 精神科医が知っておきたい抗てんかん薬の使い方・付き合い方
抗てんかん薬のてんかん以外の精神・神経疾患への適用およびオフラベル使用について
谷口 豪
東京大学医学附属病院精神神経科
精神神経学雑誌 121: 30-38, 2019

 抗てんかん薬はてんかん以外にも,双極性障害や三叉神経痛,片頭痛,パーキンソン病など,さまざまな精神・神経疾患に対して効果を示す.2006年に発売されたgabapentin(GBP)以降,10種類近くの抗てんかん薬が本邦でも相次いで使用可能となっているが,それぞれが,てんかん以外のどのような疾患に効果があるのか,保険適用があるのか否か,それらを支持する研究はどうなのかなど不明な点が多い.そのため今回は精神科医も使用する機会が多い新規抗てんかん薬を中心にてんかん以外の適用およびオフラベル使用(適用外使用)の本邦,米国そして欧州の状況について調べた.精神科領域ではcarbamazepine,sodium valproate,lamotrigineが双極性障害に対して各国で適用があり,GBPの誘導体であるpregabalinは欧州で全般性不安障害に対して適用があるが,それ以外の抗てんかん薬は精神疾患に対しての適用はなく,上記の抗てんかん薬もそれ以外の精神疾患に対しての適用はない.初期のアルツハイマー病や統合失調症の認知機能改善目的でのlevetiracetamや,筋萎縮性側索硬化症に対するperampanelなどは治験が現在進行中でありその結果が待たれる.製薬企業は,抗てんかん薬としてまずは発売し,その後に双極性障害や神経障害性疼痛などの,患者数の多い慢性疾患への適用拡大をめざすという戦略をとっている.その一環として企業は臨床医に抗てんかん薬のオフラベル使用を促進するようなさまざまなアプローチを今後もとることが予想される.精神科臨床における抗てんかん薬のオフラベル使用は,多剤併用が長期化することによって有害事象発現リスクが高まる可能性があるという医学的な問題や,医薬品副作用被害救済制度の対象外であるという制度的な問題,自由診療扱いであるため本来は保険適用である他の治療も認められなくなるという医療経済的な問題が含まれている.以上のような背景や問題点を理解したうえで,抗てんかん薬のオフラベル使用を慎重に検討すべきと思われる.

索引用語:抗てんかん薬, 承認適用使用, オフラベル使用, 神経精神症状>

はじめに
 抗てんかん薬はてんかん以外の精神・神経疾患で使用されることが少なくない4).そのなかにはcarbamazepine(CBZ),sodium valproate(VPA),lamotrigine(LTG)など,精神科医にもなじみの深い,双極性障害に対する使用も含まれる.さらにCBZやVPAは鎮痛作用を有するため,それぞれ三叉神経痛,片頭痛発作の予防を目的に使用される.その他にもzonisamideはわが国での臨床経験をもとに抗パーキンソン効果があることが明らかとなっている23)
 このように抗てんかん薬は抗てんかん作用以外にもさまざまな効果をもつため,精神科医にとっては基本的な薬物療法では十分な効果が得られない精神・神経症状に対して抗てんかん薬の使用を検討することも少なくない.しかし,そこにはオフラベル使用(適用外使用)という大きな問題が潜んでいる.精神科領域の薬物療法ではオフラベル使用が多いことが以前から指摘されている2).さらに抗てんかん薬は抗精神病薬や抗菌薬以上に最もオフラベル使用されることが多いという報告もある28)
 2006年に発売されたgabapentin(GBP)以降,10種類近くの新規抗てんかん薬が本邦でも相次いで使用可能となっているが,それぞれの抗てんかん薬において,てんかん以外のどのような疾患に効果があるのか,保険適用があるのか否か,それらを支持する研究はどうなのかなど不明な点が多い.
 そのため今回は精神科医も使用する機会が多い新規抗てんかん薬であるGBP,topiramate(TPM),LTG,levetiracetam(LEV),perampanel(PER),lacosamide(LCM)のてんかん以外の適用およびオフラベル使用の本邦,米国そして欧州での状況について調べ,オフラベル使用問題に関して考察した.
 なお,情報収集に関しては,抗てんかん薬のてんかん以外の適用やオフラベル使用に関する,2つの総説4)12),そして医薬品医療機器総合機構(PMDA)の添付文書データベース(http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)および米国国立公衆衛生研究所(NIH)と米国食品医薬品局(FDA)が提供している,データ治験および臨床研究に関するデータベースであるCrinicalTrials.gov(https://clinicaltrials.gov/)をもとに行った.

I.GBPとPGB
 2018年6月現在,GBPは「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」での適用が本邦では承認されている.てんかん以外の適用としては,GBPの透過改善型プロドラッグであるGBP enacarbilが「中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群」に対し本邦において承認されている.米国では,レストレスレッグス症候群(GBP enacarbil)および帯状疱疹後神経痛,欧州では神経障害性疼痛への適用がそれぞれ承認されている.
 双極性障害,社交不安障害,注意欠如・多動性障害などのさまざまな精神疾患へのGBPの有効性を検討する研究も過去には行われたが,十分なエビデンスが得られていない12)
 GBPの構造類縁体であるpregabalin(PGB)は欧米では抗てんかん薬として分類されるが,本邦ではてんかんに適用はなく,「神経障害性疼痛」および「線維筋痛症に伴う疼痛」への適用が承認されている.米国では脊髄損傷後疼痛,糖尿病性疼痛,帯状疱疹後神経痛,線維筋痛症への適用が承認されている.優れた鎮痛作用を有するため欧州でも「中枢性神経障害性疼痛(脊髄損傷後疼痛)」「末梢神経障害性疼痛(糖尿病性疼痛,帯状疱疹後神経痛)」への適用が承認されている.さらに,抗不安作用を有するため全般性不安障害への適用が欧州では承認されている8)

1.GBPとPGBのオフラベル使用に関する考察
 GBPもPGBも非てんかん性の神経疾患に対して使用されることが多い37)
 GBPの売り上げは2001年に米国内で年間17億ドルに達したが,同年の米国開業医の処方したGBPの83%はオフラベル使用だったという28)
 米国におけるGBPのオフラベル使用拡大の背景には製薬企業による医師に対する違法な宣伝活動があったと推測されており,この問題は内部告発をきっかけに全米各地で提訴が行われ,2004年に罰金4億3,000万ドルを企業が払うことで決着した39)
 そしてこの裁判中に専門家証人として参加した公衆衛生学者らは内部資料を入手し,内部資料と出版論文を比較する論文を2009年に発表した43).それによると,社内データ20試験のうち8件は医学雑誌に報告されておらず,プロトコールで定義された主要転帰に有意差がみられなかった試験は主要転帰を変更するような形で報告するなど,企業による臨床研究データの操作が明らかとなった43)
 このような経緯があるにもかかわらずGBPおよびPGBの疼痛関連の疾患に対しての処方が伸び続けており,PGBは2016年においては2012年の2倍以上の売り上げを達成している9)

II.TPM
 2018年6月現在,TPMは「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」での適用が本邦では承認されているが,それ以外の疾患に対しての使用の適用は承認されていない.欧米においては片頭痛の発症予防に対しての適用が承認されている.さらに,TPMは副作用として食欲および体重減少があるため,肥満に対する治療としての承認が米国では長年試みられていた.用量依存性に抑うつなどの精神症状が出現するためTPM単剤での承認は困難であり,以前から米国で抗肥満薬として使用されていたphentermineとの合剤(Qsymia)という形で2012年にFDAで「BMI 30以上の肥満」および「BMI 27以上の肥満で高血圧,高脂血症,糖尿病などの合併症を有するもの」への適用が承認された.
 なお,このような食欲および体重減少を目的として,過食性障害や向精神薬関連の体重増加に対して使用することは本邦,欧米のいずれにおいても承認されていない.
 双極性障害に対してTPMが有効であったという症例報告6)もあるが,双極性障害の躁状態に対してのTPMのランダム化比較試験(RCT)を行った4つの研究ではいずれもその効果を証明できなかった18)
 TPMは片頭痛における予防効果の有効性が複数のRCTで確認されており,2012年の米国内科学会のガイドラインにおいてはVPAと同様にグレードAで推奨されている.
 しかし,本邦においては片頭痛の予防への保険適用は未承認のままである.
 2015~2016年に行政・専門家・製薬企業が集まる「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」においてTPMの片頭痛予防に関しても検討が行われたが,2007年に行われた臨床治験においてTPMはプラセボ群との統計学的有意差がなかったことや,適用のある他剤が複数新たに上市されていること,「てんかん」としての適用を取得している国内企業と「片頭痛」としての開発権利を取得している海外の企業が異なることから新たな治験を実施するのは困難であることなどを理由に適用承認は見送られた16)

III.LTG
 2018年6月現在,LTGは「部分発作(二次性全般化発作を含む),強直間代発作,定型欠神発作に対する単剤療法」および「部分発作(二次性全般化発作を含む),強直間代発作,Lennox-Gastaut症候群における全般発作への併用療法」が承認されている.
 てんかん以外には「双極性障害における気分エピソードの再発・再燃予防」に対しての使用が本邦および欧米での適用があり,それ以外にも下記に示すようなさまざまな精神疾患に対してLTGがオフラベル使用されている29)
 双極性うつ病の急性期治療に関しては,5つのRCTのうち4つで統計学的有意差を認めなかったという報告5)がある一方で,lithiumとの併用療法で双極性うつ病に対して有意な効果を認めたという多施設RCTの結果41)や,軽症から中等症では有意差がなかったものの中等症から重症の双極性うつ病の急性期治療においてはプラセボと比較して有効だったとするメタ解析29)があり,日本うつ病学会ガイドラインにおいては双極性障害の大うつ病エピソードに対してはquetiapine,lithium,olanzapineとともに推奨されている.
 単極性うつ病に対してのLTGの効果は否定的な意見もある32)が,増強効果や単剤治療の有効性を支持するメタ解析もある36)
 日本神経精神薬理学会の統合失調症薬物治療ガイドラインでは,治療抵抗性の統合失調症においてclozapineで十分な効果が得られなかった場合,LTGの併用が有用な可能性があると記載されている.5つのRCTをまとめたメタ解析では,LTGとclozapineの併用は忍容性・安全性に問題はなくプラセボ群との比較でも有意な改善があったと報告している40)が,その効果は十分でないと否定的な意見もある42).その他,LTGが治療抵抗性の統合失調症の残遺症状に有効であったという5症例の報告もある25)

IV.LEV
 2018年6月現在,LEVは「てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)」「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法」での適用が本邦では承認されているが,それ以外の疾患に対しての適用は承認されていない.
 2000年代前半にLEVの双極性障害に対する有効性を示す症例報告11)やオープンラベル比較試験27)などの報告があったが,その後はその効果を否定するRCTの結果33)や,診療現場での否定的な意見が続いている7).むしろ近年ではLEVによる有害事象としての,不機嫌やイライラなどの精神症状が低くない頻度で出現するとの意見が主流になっている26)46)
 LEVと同じラセタム系化合物であるpiracetamは認知機能を強化し脳の老化を防ぐと考えられており,同様にLEVも認知機能を改善することが期待できるのではないか,という仮説のもとにさまざまな研究が行われてきている17).実験動物レベルでは,LEVが加齢モデルラットの記憶障害を改善するという報告14)や,アルツハイマー病(AD)モデルマウスの脳波検査で検出された異常なスパイク活動をLEVは効果的に減少させ,LEVの長期投与によって海馬神経回路のリモデリング,シナプス機能障害,記憶障害が改善した31)などの報告がある.ヒトを対象とした研究では,軽度認知機能障害レベルの患者に対して少量のLEVを投与したところ,海馬依存的な学習機能が回復したのを確認したプラセボ対照二重盲検試験3)や,てんかんを有さない健康な高齢者にLEVを投与したところ,注意力や視覚機能が改善したとする前向き研究の報告がある34).さらに近年になって実際の診療場面においてADの初期段階からてんかん性の脳波異常が起きており,そのような脳波異常がADの進行を早めている可能性があることを示唆する知見が増えている19)44)
 このため,低用量(220 mg)のLEVによるADの発症予防の有効性を検討する臨床治験が米国において現在進行中である.
 このようなLEVの認知機能改善効果は,ケタミンを投与した統合失調症モデルマウスでも報告15)されており,米国では統合失調症の認知機能改善を目的としたLEVの治験も進行中である.

V.PER
 2016年5月に発売となったPERは本邦では,「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の発作に対する抗てんかん薬との併用療法」としての適用をもち,部分発作(二次性全般化発作を含む)および強直間代発作に対して使用される.
 2018年6月現在までのところ,本邦および欧米においてもてんかん以外の適用は承認されていない.
 PERはAMPA受容体に選択的に結合することにより非競合的にAMPA受容体を阻害する.
 そのため,てんかん以外にもAMPA受容体の過剰興奮で起こる,さまざまな疾患への効果が期待される.
 PERはLafora病やUnverricht-Lundborg病,歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症などの進行性ミオクローヌスてんかんに有効であったとの症例報告があり,このような難治性の神経変性疾患に対してPERは神経炎症・変性作用に効果を発揮している可能性が推測されている35)
 筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルマウスにPERを投与したところ運動機能低下の進行およびその原因とされる運動ニューロンの変性脱落が抑制され,ALSに疾患特異的なTDP-43蛋白の細胞内異常が回復・正常化したことが報告され1),医師主導型の臨床治験が現在進行中である.

VI.LCM
 LCMは本邦においては「てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作)」への適用が承認されている.2016年7月の発売当初は「併用療法」のみの適用だったが,2017年8月からは「単剤療法」の適用が承認されている.2018年6月現在までのところ,本邦および欧米においてもてんかん以外の適用は承認されていない.
 ラットやマウスを使った実験では,LCMはdiazepamやPGBと同程度の抗不安作用をもっていることが示されている10).成人てんかん患者に対するLCMの併用療法を評価した前向き単盲検試験では,LCMは発作コントロールとは無関係にプラセボと比べて気分を有意に改善した24).てんかん患者に対してLCM投与後は抑うつや不安のスコアが改善した30),不安は改善せずに抑うつのみ改善した22)などの観察研究がある.さらに新規抗てんかん薬のなかでは精神や行動面での副作用が原因で中止になることがLCMは少ないことが知られている38)
 このようにLCMはてんかん患者の抑うつや不安といった症状を緩和する可能性が示唆されるが,気分安定薬としての十分な効果を有するというエビデンスは今のところない.

VII.抗てんかん薬の適用拡大・オフラベル使用のまとめ
 従来の抗てんかん薬も含めた,抗てんかん薬のてんかん以外の適用をにまとめた.
 これまで述べてきたように,に記載のないオフラベル使用のものも含めると,抗てんかん薬は実にさまざまな精神・神経疾患で使用されることがある4).その背景には製薬企業の戦略と臨床現場のニーズがあると考えられる.
 抗てんかん薬の場合,動物モデルが確立されていて,臨床試験においても発作の有無という客観的にも定量化しやすいアウトカムであり,さらに最近の抗てんかん薬は既存の抗てんかん薬への上乗せをプラセボと比較するため治験を実施しやすいなどの点から,他の中枢神経疾患に比べて比較的開発しやすいのかもしれない39).そして,抗てんかん薬として発売した後は,双極性障害や神経障害性疼痛などの,患者数の多い慢性疾患への適用拡大をめざすという戦略が推測される4)39).そして,臨床の現場では,このような慢性の精神・神経疾患は既存の治療では十分な効果が得られていない場合もあり,そのようなアンメットニーズに対して抗てんかん薬が追加投与されるのかもしれない.しかも,以前の抗てんかん薬に比べると多くの新規抗てんかん薬では安全性・忍容性が高く,薬物相互作用も少ないことから臨床医にとって使いやすいこともあり,抗てんかん薬はてんかん以外の精神・神経疾患に使用される機会が少なくないのだろう.

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VIII.精神科臨床での抗てんかん薬のオフラベル使用にはどのような問題が含まれているのか
 精神科臨床で抗てんかん薬をオフラベル使用することには大きく3つの問題点があると考えられる.
 第一に生物・医学的な立場からの問題点である.精神科領域での向精神薬のオフラベル使用は併存する症状の改善や基本的治療が奏効しない治療抵抗性の症例に併用されることが多い2).さらに精神疾患はプラセボにも容易に反応しやすく,治療の標的症状に客観的指標がない20).そのため,抗てんかん薬が精神症状の改善目的でオフラベル使用された場合,多剤併用の状態が長期化することが起こり得る.その結果,催奇形性の問題や骨粗鬆症,動脈硬化などのさまざまな有害事象45)が出現する可能性が高まり得る.
 第二に医薬品副作用被害救済制度においてもオフラベル使用は対象外になっており,重症薬疹などが出現したときには患者の健康面だけでなく経済面にも影響を与え得る,といった制度的な問題がある.
 最後に,医療経済的な立場から考えても問題点がある.オフラベル使用をする場合,保険制度上は原則,「自由診療」扱いとなる.さらに本邦では保険診療と自由診療の併用は認められていないため,本来健康保険が適用される治療も治療費すべてが患者の自己負担となる.この問題を解決するためにいわゆる「レセプト病名」が増えることによって,保険病名を利用した疫学研究などに影響が出ることも懸念される.

おわりに
 米国でのGBPのオフラベル使用促進まであからさまでなくとも,製薬企業はさまざまな手法でわれわれ臨床医にオフラベル使用を誘うようなアプローチをとることは今後も続くであろう.例えば,製薬企業は自分たちに代わってオフラベル使用を推奨してくれる,多くの医師の処方に強い影響力をもつオピニオンリーダーに依頼することが知られている13)21).あるいは,製薬企業パンフレットを使用しての巧みな製品説明やボールペンやメモ帳などの提供などによって知らず知らずのうちに処方パターンに影響を与えているかもしれない21)
 抗てんかん薬はさまざまな精神・神経疾患に対しても効果があり,そのなかにはCBZ,VPA,LTGは双極性障害に対する効果も含まれる.しかし,だからといって「抗てんかん薬だから双極性障害に使えるかもしれない」などとは安易に期待せず,抗てんかん薬のオフラベル使用には今まで述べてきたような背景や問題点があることをしっかりと認識して慎重に検討するのがよいだろう.

 なお,本論文に関連して開示すべき利益相反はない.

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