Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第120巻第5号

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連載 精神科多職種チームの協働
日本精神神経学会 多職種協働委員会 企画 第3回
精神科診療所における多職種連携
紫藤 昌彦
医療法人社団コスモス会紫藤クリニック
精神神経学雑誌 120: 430-435, 2018

 精神科診療所は患者にとって身近な精神科医療機関である.近年,精神科診療所は小規模診療所から多機能型診療所までその幅が広がり,精神科医には多職種を調整するコーディネーターとしての役割が課せられている.診療所内の多職種チームには,精神保健福祉士,心理職,看護師などが配置されていることが多い.また,院外のさまざまな関係機関で多職種スタッフが活動しているが,診療所と関係機関との連携を進めるためには診察時に院外多職種スタッフが同席することが有用である.そのメリットは,医師にとっては院外多職種スタッフの情報をタイムリーに得ることができること,院外多職種スタッフにとっては医師と患者とのやりとりを聴くことで患者理解が深まることである.デメリットとしては,守秘するべき情報と関係者で共有するべき情報の見分けが難しい場合があることである.地域の関係機関との日常的な連携・協働には電話連絡が必要であるが,これには院内の精神保健福祉士の存在が有用である.一方,多機能型診療所が地域の精神医療・福祉ネットワークの中核となれば,従来は退院が困難だった患者にも対応でき,地域移行の促進につながることが期待できる.入院中心から地域中心に向かう精神医療の流れの中で,多機能型精神科診療所は入院と外来の間を埋める存在として,精神科診療所の新たな形態になりつつある.診療所の精神科医師は多職種スタッフの視点を取り入れ,診療所機能の向上を図っていくことが重要である.

索引用語:精神科診療所, 多職種連携, 小規模診療所, 多機能型診療所, 精神保健福祉士>
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