Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第120巻第3号

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特集 神経症性障害はどこまで薬物療法で治せるのか―その限界と多角的治療の実際,そして可能性―
社交不安症はどこまで薬物療法で治せるか―その効果と限界―
朝倉 聡
1)北海道大学保健センター
2)大学院医学研究院精神医学教室
精神神経学雑誌 120: 213-220, 2018

 社交不安症(SAD)の薬物療法については,多くの無作為化比較試験(RCT)およびメタ解析の結果から選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が第一選択薬と考えられるようになってきている.わが国で行われたSSRI(fluvoxamine,paroxetine,escitalopram)の長期投与試験の結果からは,1年程度の薬物療法で60~70%程度の症例に治療反応性がみられる可能性があると考えられるが,30~40%程度の症例ではさらなる治療的工夫が必要である.エビデンスベイスト治療ガイドラインからは,第二選択薬,第三選択薬が示されているが,難治例については試行錯誤とならざるをえない.SSRIで治療反応が不十分な症例に対しての認知行動療法の有効性が示されていることから,薬物療法に認知行動療法を追加することは有効と考えられる.また,神経画像研究からは,認知行動療法の有効性に対する予測因子として視覚野領域の過剰反応などが検討されており,今後,どのような症例にどのような治療法が有効か個別の症例にあわせて検討していける可能性があると考えられる.

索引用語:社交不安症, 薬物療法, SSRI, 認知行動療法>
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