Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第119巻第12号

※会員以外の方で全文の閲覧をご希望される場合は、「電子書籍」にてご購入いただけます。
特集 さまざまな精神障害の「病識」をどのように治療に生かすか
双極性障害の病識と治療
鈴木 映二
東北医科薬科大学医学部精神科学教室
精神神経学雑誌 119: 926-934, 2017

 双極性障害に罹患した患者は,躁状態に対しての病識が不十分なことがある.病相としては,躁状態のときに病識が障害されやすく,うつ状態や寛解状態においても,その傾向がみられることがある.したがって,正しい診断のためには慎重に病歴や病状を聞き取ることが必要になる.また診断がついた後も,つねに躁状態になっていないか詳しく聞く必要がある.病識の障害は,躁状態の程度が重症なほど,また,病歴が長くなるほど悪化する患者群があると考えられている.したがって,診断がつき次第,十分時間をかけて心理教育を行っていくことが重要である.一方で,病識が高くなるとセルフスティグマの原因になる可能性もあるので注意が必要である.発症以前の患者は,平均以上の学力や創造力を有していた可能性が高いので,そのことにも配慮しながら心理教育がなされるべきである.

索引用語:双極性障害, 病識, 躁状態, 心理教育>
Advertisement

ページの先頭へ

Copyright © The Japanese Society of Psychiatry and Neurology