Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第6号

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特集 アルツハイマー病におけるSymptomatic Drugsの使い方と使い分け
認知症に対するSymptomatic Drugの使用について
工藤 喬
大阪大学保健センター
精神神経学雑誌 118: 443-450, 2016

 アルツハイマー病(AD)の治療薬はdisease-modifying drug(DMD)とsymptomatic drug(SD)に大きく分けられる.DMDの主なものはアミロイドワクチン療法やβ/γセクレターゼ阻害薬であり,ADの根本治療薬として大きな期待をもたれて開発が進められている.一方,SDとしてはドネペジル,ガランタミン,リバスチグミン,メマンチンが現在使用可能であり,メマンチンがNMDA受容体阻害薬で,残り3剤はコリンエステラーゼ阻害薬である.3剤のコリンエステラーゼ阻害機序には若干の差異があり,これらが使い分けのヒントとなる可能性があるが,これまでのSDのガイドラインでは4剤に有意な差はないとされている.また,ガイドラインでは,SDがADの進行を止めないことやMCIへのSD使用は奨励していない.根本治療でないSDの使用については批判もあるが,SDにはADの進行遅延効果,ADL保持効果,介護負担軽減効果,そしてBPSDに対してある程度効果を認め,非薬物療法も併用して適正に使えば一定の価値があると考えられる.

索引用語:disease-modifying drug, symptomatic drug, アルツハイマー病, アミロイドカスケード仮説>
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