Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第117巻第7号

※会員以外の方で全文の閲覧をご希望される場合は、「電子書籍」にてご購入いただけます。
特集 これからの精神科医療を考える―「地域でその人らしく暮らす」を実現するための政策・医療・財源を考察する―
精神保健医療福祉政策の今後を展望する
福田 祐典
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
精神神経学雑誌 117: 519-524, 2015

 「入院医療中心から地域生活中心へ」という政策の基本理念を実現するため,政府においては過去に各種施策がなされたが期待された成果は上がっていない.基本理念を実現させるためには,地域精神科医療提供の明確なビジネスモデルと地域特性と医療機関特性に応じたビジネスモデルの展開を支援する政策,制度,報酬,予算,人材育成などからの施策が必要であるとの考えのもとに,明確なビジネスモデルの提示と支援施策の動向について検討を行った.まず,患者中心の医療を原則とし,精神科医療が地域に出ていくことが必要であることを論じた.次に,共通の哲学と標準化された支援方法で適切なサービスを24時間対応で提供すること,そして,医療を含む地域支援サービスが連携して患者の地域における生活をサポートすることの必要性を明らかにした.さらに,多機能垂直統合型を基本とした展開を念頭に,精神科診療所,民間精神科病院,県立精神科病院,総合病院精神科などにおけるビジネスモデルを示した.最後に,地域医療計画への精神疾患の位置づけや,税と社会保障一体改革の検討状況を踏まえた今後の提供制度改革支援,診療報酬による改革支援の動向が,ビジネスモデル展開の支援策として有効に機能しうるものであることを示した.

索引用語:患者中心, 治療継続性, ケアマネジメント, 多機能垂直, 地域医療構想(ビジョン)>
Advertisement

ページの先頭へ

Copyright © The Japanese Society of Psychiatry and Neurology