ロジャーズ派の精神療法は,治療者が必要にして十分な条件を満たせば患者が自己回復力により治癒していくと考え,徹底的に支持的受容的に接するところに特徴がある.特定の技法によって積極的に介入することが少ないため侵襲性に乏しいと考えられがちである.しかし何らかの効果を有する治療法であれば,副作用が全くないことはありえないという前提にたって,ロジャーズ派の精神療法の副作用リスクを検討した.精神療法におけるインフォームド・コンセントの問題,依存や退行を生む可能性,必要以上の内面的な掘り下げ,適切な医療を受けられない可能性,時間や費用のコストの問題などを検討した.
ロジャーズ派の精神療法およびカウンセリングの副作用
日本医科大学医療心理学教室
精神神経学雑誌
117:
452-456, 2015
<索引用語:カール・ロジャーズ, 精神療法, カウンセリング, 副作用>