社会的に注目されている成人発達障害を対象とした専門外来とデイケア・プログラムについて,昭和大学附属烏山病院での経験が紹介された.烏山病院の成人発達障害を対象とした専門外来とデイケア・プログラムの患者総数が2008年の開設以来3,000人を超え,受診した初診患者総数のうち,発達障害と診断された比率は40%にとどまり,診断が困難な現状がうかがわれた.自閉症スペクトラム(ASD)と診断された人たちを対象とするデイケア(ショートケア)の現状と卒業した人たちの就労状況が紹介された.本特集の他稿で紹介されている,復職支援を目的として実施されているリワークデイケアにおける取り組みにおいては,発達障害者の参加がしばしばみられ,発達障害に特化した取り組みも必要であることが強調されている.現在,烏山病院を中心としてASD向けのショートケアプログラムの標準化が進められており,全国化に向けてより多くの施設の参加が望まれる.
発達障害者の就労をめぐる諸問題―昭和大学附属烏山病院での成人発達障害を対象とした専門外来とデイケア・プログラムにおける取り組みを中心に―
1)昭和大学附属烏山病院,公益財団法人神経研究所附属晴和病院
2)メディカルケア虎ノ門
2)メディカルケア虎ノ門
精神神経学雑誌
117:
195-198, 2015
<索引用語:成人発達障害, 自閉症スペクトラム, デイケア・プログラム>