Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第7号

※会員以外の方で全文の閲覧をご希望される場合は、「電子書籍」にてご購入いただけます。
教育講演
第109回日本精神神経学会学術総会
学校精神保健活動における精神科医の役割
白瀧 貞昭
博愛発達障害研究所
神戸博愛病院児童精神科
精神神経学雑誌 116: 616-620, 2014

 精神科医による学校精神保健活動の一環としての学校・園との連携について,何らかの精神疾患をもっている児童生徒に対する学校・園での治療の一部としての援助だけでなく,精神不健康発生の予防的対処のためにも連携があるのだとの認識はかなり広まってきている.近年,学校・園での精神不健康の症状,疾患の表現とともにその原因においても従来のものとは大きく異なってきていることがうかがわれる.例えば,児童生徒の精神不健康は学校不適応症状として現われることが多いが,これらの症状の発生原因として従来多かった心因性(神経症性)が今から10年程前から何らかの発達障害を基礎にもつ学校不適応に明らかに変化してきていることが我々の西宮市における調査で明らかになってきている.しかも,発達障害も従来からあったものに比して軽症化しているという特徴を伴っている.このような傾向からみると,今日,全教師が精神保健についての相当の見識をもつことを要請されているといえる.精神科医と学校・園との連携の仕方も,養護教諭が学校で著しい精神不健康状態にある児童生徒を発見して精神科医に連絡して対処法を指示してもらうというやり方よりも,精神科医が学校・園に定期的に赴いて,そこで全ての教師,管理者などとともに具体的な事例を詳しく解析,検討するという作業が非常に有効である.さらに,精神科医の役割は,教師が求める,直面している不健康兆候(他児童生徒への迷惑行動のみを拾い上げるのではなく)に対する対処法を答えとして与えることではなく,教師自身がその不健康状態の現象面を理解し,かつ,その発生原因などを考えられるようになる(このことをその不健康状態の見立てをすると称するが)ことによって,自動的に対処法などを見つけることができることを伝えることにあると思われる.これらのことを精神科医に伝えていくというのが本稿の目的である.

索引用語:学校精神保健, ケースコンサルテーション, 発達障害, 外面化問題>
Advertisement

ページの先頭へ

Copyright © The Japanese Society of Psychiatry and Neurology