Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第6号

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資料
パチンコ・スロット利用者における病的賭博者の特徴とソーシャルサポート―インターネット調査による分析―
熊上 崇
立教大学コミュニティ福祉学部
精神神経学雑誌 116: 475-486, 2014
受理日:2013年9月19日

 パチンコ・スロット利用者を対象としたインターネット調査を行った.対象は,パチンコ・スロットに週2回以上行く人250人,週1回または月1回程度行く人250人,合計500人である.病的賭博のスクリーニングに用いられる日本版South Oaks Gambling Screen(日本版SOGS)を実施するとともに,ギャンブル依存症の自覚の有無,サポートの必要性,サポートの有無とその内容について尋ねた.その結果,病的賭博者に該当するのは351人(70.2%),問題賭博者に該当するのは143人(28.6%)であった.病的または問題賭博者に該当するのは全体の98.8%であった.病的賭博者の日本版SOGSの平均得点は7.0,ギャンブル開始年齢の平均は22.8歳であった.病的賭博者のうち,ギャンブル依存症の自覚がある人は138人(39.3%)であり,60.7%の人は依存症の自覚がなかった.また,依存症の自覚のある人のうちサポートが必要と感じている人は70人(19.9%)であったが,実際のサポートを受けている人は9人(6.5%)であり,サポートの内容は,家族と友人が主で,精神保健センターや精神科クリニックなどの専門機関や自助グループにかかわっている人は各1人程度であった.サポートの必要性を感じていても,実際には家族や友人だけにとどまり,精神科や保健所などの専門機関や自助グループへの関与はほとんどないことが明らかになった.わが国では,アルコールや薬物・タバコでは政府や教育機関による予防啓発活動が盛んに行われCMなどでも注意喚起がなされているのに,パチンコ・スロットに関しては予防啓発,注意喚起が行われていない.精神保健や社会福祉関係者は,パチンコ・スロットに関してもアルコールや薬物同様に危険性を周知し,予防啓発・注意喚起を行うことが必要と考えられる.

索引用語:病的賭博, 予防, ソーシャルサポート, パチンコ・スロット>
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