近代医学の登場以前には,西欧ではカトリック聖職者により推進された修道院医療,また,わが国では僧侶により緩和ケアに対応する取り組みがなされた.緩和医療では死を前にした患者のケアをする以上,必然的に広義のスピリチュアリティ(霊性)の次元が浮上してきて,通常の現代医学の守備範囲を超える側面がある.このような問題意識のもとに,日本における緩和医療の今後の方向性を考える一助として,宗教が医学に果たした役割について論じた.
第110回日本精神神経学会学術総会
宗教(カトリシズム,プロテスタンティズム,仏教)が医療に果たした役割―わが国の緩和医療の今後を考えながら―
自治医科大学精神医学教室
精神神経学雑誌
116:
936-949, 2014
<索引用語:緩和ケア, スピリチュアルケア, カトリシズム, プロテスタンティズム, 仏教>