Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第10号

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特集 精神疾患の新しいメカニズムを検討する
うつ病の脳内メカニズム―Functional MRIを用いた検討―
岡田 剛1), 岡本 泰昌1), 志々田 一宏1), 上田 一貴2), 小野田 慶一3), 国里 愛彦4), 田中 沙織5), 銅谷 賢治6), 山脇 成人1)
1)広島大学大学院精神神経医科学
2)東京大学大学院工学系研究科
3)島根大学医学部神経内科
4)専修大学人間科学部
5)ATR脳情報通信総合研究所認知神経科学研究室
6)沖縄科学技術大学院大学神経計算ユニット
精神神経学雑誌 116: 825-831, 2014

 抗うつ薬が脳で細胞外のセロトニンやノルアドレナリンなどのモノアミンの濃度を上げることをはじめとして,脳内モノアミンの変化がうつ病の病態に関連していることは繰り返し示されてきた.しかし,モノアミンの異常がどのようなメカニズムでうつ病の症状と関連するのかはいまだ解明されていない.われわれは,うつ病をモノアミンにより調節される学習や意思決定の神経回路の機能障害という視点から捉え,主に報酬予測機能におけるセロトニンの役割に着目し,機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた検討を行ってきた.その結果,短期と長期の報酬予測には脳内の異なるネットワークが関与しており,セロトニンがそのネットワークの活動を調節することで報酬予測の時間スケールを制御していること,およびうつ病では長期の報酬予測に関与するネットワークの賦活機能が低下していることが示唆された.これらの結果をふまえ,うつ病の脳内メカニズムについて考察した.

索引用語:うつ病, fMRI, 報酬予測, セロトニン, 線条体>
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