Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第4号

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教育講演
第111回日本精神神経学会学術総会
Personal Support Specialistとしての精神科医
池淵 恵美
帝京大学医学部精神神経科学講座
精神神経学雑誌 118: 242-248, 2016

 Personal support specialistという用語はロバート・P・リバーマンの言葉で,患者の人生を支援し,生活のしやすさだけではなく,内面的な困難や生きがいの創出にもかかわる役割である.こうした役割をはたす上では,医学的な回復に加え主観的回復や社会的回復や人生の回復などの多面的な視野をもつ必要がある.その上で具体的には,当事者の大切な生活の目標である,就労,恋愛・結婚,一人暮らしを支援する知識・技術・ネットワークや同僚などの仲間を心がけて涵養していくことが重要と考えている.筆者は支援の方法として生活臨床・認知行動療法・生活療法(臺)を基盤としているが,さらにこれらの方法の発展として,当事者がつまずく思春期からの再成長の過程の中で,生き方を再発見していくことがリカバリーにつながっていくことから,「主体価値」や内発的な動機の重要性に注目するようになっている.またリカバリーのプロセスを伴走した経験をふりかえり,面接での工夫やほかの仲間や社会資源とつながっていくことについてふれた.最後に筆者の専門としている統合失調症では,薬物療法抵抗性のさまざまな精神症状や陰性症状,社会機能への大きな影響など,まだ精神科医療では十分手が届かない障碍があり,そのほかの精神障害でも同様の課題がある中で,希望を育みつつかかわる,精神科医のとるべき役割について考察した.

索引用語:統合失調症, リカバリー, 就労支援, 恋愛結婚支援, 生活臨床>
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