Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第3号

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教育講演
第111回日本精神神経学会学術総会
向精神薬服用中の自動車運転等の禁止等に関する問題を考える
松尾 幸治
山口大学大学院医学系研究科高次脳機能病態学分野
精神神経学雑誌 118: 159-168, 2016

 平成25年3月に総務省行政評価局より,続いて同年5月に厚生労働省より「自動車運転等の禁止又は自動車運転等の注意」の通知がされた.自動車運転に厳しい制限を科している薬剤の中に向精神薬が多く含まれており,精神科医療機関や薬局などの現場での混乱は記憶に新しい.本稿は,この問題をテーマに,わが国の添付文書を見直し,諸外国との添付文書の相違を検討し,若干の文献的考察,この問題に関しての製薬会社や規制当局の考え方を概観した.その結果,わが国は,ほとんどの向精神薬について添付文書は画一的で自動車運転に厳しい制限を科しており,対照的に諸外国は厳しい制限をする薬剤はほとんどなかった.この問題に関する添付文書の文言は,国によって様々だった.この問題に関する対策はわが国と比べ欧州ははるかに進んでいた.今後,わが国も患者が等しく社会生活を送る権利と道路安全を両立させるために,関係省庁,学術団体,医療機関,当事者,製薬会社などが,国民の安全,研究的エビデンス,わが国の交通事情,処方事情などを踏まえた包括的議論を進め,わが国独自の基準などの整備をしていくことが望まれる.

索引用語:向精神薬, 自動車運転, 規制当局, 製薬会社, 添付文書>
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