急性向精神薬中毒では,誤嚥性肺炎,異常体温,非外傷性挫滅症候群/コンパートメント症候群といった合併症を見逃さずに管理することが重要である.吸収を阻害するためには,第一選択として活性炭の投与を考慮する.ただし,活性炭に吸着されないリチウムには無効である.徐放剤や腸溶剤には腸洗浄を考慮する.排泄を促進するためには,腸肝循環するフェノバルビタールやカルバマゼピンには活性炭の繰り返し投与を考慮する.また,フェノバルビタール,フェニトイン,カルバマゼピンには血液灌流法を,リチウムには血液透析法を考慮する.拮抗薬・解毒薬としては,三環系抗うつ薬中毒では炭酸水素ナトリウムが有効である.
第110回日本精神神経学会学術総会
急性薬物中毒概論―向精神薬を中心に―
北里大学医学部救命救急医学
精神神経学雑誌
117:
299-304, 2015
<索引用語:誤嚥性肺炎, 活性炭, 腸洗浄, 活性炭の繰り返し投与>